おん ろけいじんばら きりく そわか
おん ろけいじんばら きりく そわか
おん ろけいじんばら きりく そわか
おとしさん うら若き乙女
わが高洲の村から選ばれし人
土穂石川の氾濫を鎮めるため
むごいことに人柱として立てられた
わが父祖の愚かしさを嘆く
この悲劇は忘れてはならない
父母の悲しみはいかほどであったか
生きていれば楽しいこともあっただろう
今わたしはあなたのお社にて
心からの鎮魂と懺悔とを祈る
いつかそのそばに飼っていた黒猫が
どうかクロを可愛がってあげてください
あなたの生まれ変わりの方と会ったような気がします
その方には深い縁を感じました
あなたの尊い犠牲によって
今のわたしがあります
うら若き 乙女の犠牲 忘れまじ 凪いだ河には 御霊が守る
半之丞さん 平家の落武者
池ノ浦の合戦に敗れて
大古庵の村に助けを求めたが
源氏のお咎めを恐れて
誰もあなたを匿おうとしない
仲間とはぐれ見知らぬ土地を彷徨って
あなたの屈辱と絶望はいかほどであったか
そこにかの父娘がそっと手を差し伸べた
あなたは癒され子も生まれた
しかしわが祖先によりて
無惨にも斬り殺された
我が子のために松かさを集めているところを
せめてもの救いは
あなたの子は立派な僧となって
怨恨を断ち切ったこと
必ずやあなたの菩提を弔ったことでしょう
落人が 被りし傷 我もあり 痛みを分つ 汝と共なり
般若姫さま 心優しきお姫様
あなたの父母は高貴な方々
清らかな心に神々は嘉される
あなたは吉兆、満月の御子
三日月の痣はその印
その美しさに異国の王も恋をする
わが朝の皇子にもみそめられ
病に伏せったあなたにお父上は
神のお告げから試験を設けた
皇子は暴れ馬を乗りこなし
笠がけの的を見事射抜いた
そしてあなたがたは夫婦に
即位する皇子を追い求めて
百済の大船に打ち乗られた
天津風 雲吹きはらえ 心なき 乗り行く姫の 影を見ん間も
嵐のため上洛は難航し
あなたは逆巻く荒波に一心に祈られた
小さな千手観音像を肌身離さず
さても暑き浦かな
阿月という地名の由来
各地にあなたの言葉からの地名が残る
水を求められたあなたに
わが祖先らは井戸の水を差し上げた
あなたは健気にもお礼にと
姥柳の楊枝を立てられると
ほどなく柳の大木となった
柳井とはこの故事による
あなたは嵐で死んだ者たちを憐れむ
かの大畠の鳴戸の渦潮
かりの世に なに歎くらんと うき舟の いずくを宿と さだめ置かねば
あなたは波間に漂う亡骸にお心を痛められ
白衣を翻して海に入られた
泳ぎの達者な者があなたを引き上げたが
あなたはわが故郷の山を望んで
二度とお目を開かれることはなかった
あなたの眼差しはその下で細々と暮らす
わたしの遥かな祖先にまで届きました
あなたの清らかな心にわたしは跪きます
姫君の まなざしの先 わが御祖 そのうつくしび 我に届けり
神よ、どうかわが故郷の礎になった方々を憐れみたまえ
南無観世音菩薩 慈眼視衆生福衆海無量
南無観世音菩薩 慈眼視衆生福衆海無量
南無観世音菩薩 慈眼視衆生福衆海無量
