おん ろけいじんばら きりく そわか
おん ろけいじんばら きりく そわか
おん ろけいじんばら きりく そわか
ここは迷宮ラビュリントス
投げ込まれた者を待ち受けるは
両刃の斧持つミノタウロス
迷宮に迷い込んだ者を喰らい尽くす
半人半牛の咆哮と哄笑が響き渡る
幽閉されたダイダロスとイカロスの父子
少年は怯えきって父に縋り付く
彼は自分だけが助かりたかった
慈父は息子のために手作りの翼を拵える
骨組みの膠が熱で溶けないように
太陽に近づくことを固く戒めて
肩から翼を結びつけてやった
少年は大きく両翼を左右に広げて
大空へと羽ばたいて迷宮から飛び出した
一二三四五六七八九十と云て
左より右に廻し上下とも
振部由良由良と布留部
少年は大空を自由に飛翔する
眼下に広がるは母なるわだつみ
耳朶には潮騒、鼻腔には磯の香り
爽やかな西風が体を吹き撫でる
もはやミノタウロスの恐怖はない
怪物の悔しがる怒号にほくそ笑んだ
やんぬるかな、これも人の性
鳥の子となった少年は有頂天となり
戒めも忘れて天空まで舞い上がった
すると太陽の熱気を間近で浴びて
翼の膠が溶けて羽根が剥がれ落ちる
そしてそのまま大海原に落下していった
父の翼は湿気のため跡形もない
その海は後にイカリア海と呼ばれる
主よ、あわれみたまえ
キリストよ、あわれみたまえ
主よ、あわれみたまえ
海を漂う少年の頭にふと去来した
果たして一番苦しんでいるのは誰だろうか
それはあの怪物ミノタウロスなのでは
人と牛の奇形児として生まれた彼こそ
憎悪と貪欲にとらわれた最も不幸な存在
あの怪物こそ迷宮から出してやらねば
少年はすぐさまラビュリントスに戻り
父のもとへ向かって仔細を話した
優しい顔をして静かに頷く父
息子のための翼を作り直して手渡す
少年は迷宮の奥底まで進んでいった
慈父が作ってくれた新しい翼を抱えて
今度は苦悩する他者を助けるために
天上から光の眼が向けられていた
おん あみりたていせい から うん
おん あみりたていせい から うん
おん あみりたていせい から うん
