シャングリラ

神話三部作、第三部アジア編。本当は真面目です。

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氷河期のバイカル湖のほとり

小柄な部族が各地に散っていった

ある者は自然豊かな土地に定住し

ある者は海峡を渡り旅を続けた

桃源郷を求めて導かれるように

 

黄河と長江の大河に育まれた大陸

ここには卵の中に盤古という神

かの者は次第に天地を割り広げた

その死後、遺骸から万物が生じる

蛇身の女媧は土で人間を作り

同じく伏犠は人に技術を伝えた

尭舜の治という名君の時代を経て

空に太陽がいっぺんに十個も現れ

地上は燃え盛る灼熱地獄となった

そこに羿という弓の名手が颯爽と

ひとつの太陽だけ残して九つを射落とした

その中には太陽の精、三本足の烏

この烏の神霊は東の半島に渡り

勇壮な鎧馬武士たちの風の草原に翻る

歴代の皇帝を守るは四方の神獣

四面楚歌の時代に諸子百家たち

魯の国に孔丘という者が現れる

彼の教えは周辺部に伝播する

そののち、この民は世界の中心となる

 

密林が生い茂るユカタン半島

ここには羽毛あるケツァルコアトル

宿敵は黒曜石のテスカトリポカ

生贄を求める血生臭い神々

ウィツィロポチトリも滅ぶ運命

四つの太陽を破壊した魔王と蛇神も

手を携えて世界を再生させる

テスカトリポカには輝く鏡が

ケツァルコアトルにはエメラルドの羽が

鷲の羽で飾った投槍持つイーグル戦士

豹の毛皮を纏った精鋭のジャガー戦士

彼らが王都とトウモロコシの民を守る

北方の部族の創造神はワタリガラス

神官たちは緻密な思索をする

暦が発達してカトゥンと呼ばれる

螺旋型に進む時間論が展開された

世界は循環するが必ず終末がある

その予言通りテノチティトランの都には

エルドラドを狙うコンキスタドールの影が

 

もののふと大王の葦原の中つ国

ここには畏き天津神と国津神

夫婦神は国産みを進めていたが

イザナミは火の神カグツチを生み

その熱さで焼け死んでしまった

イザナギは黄泉の国に妻を求めると

イザナミは醜い不浄なる姿となっていた

イザナギは驚いて地上へ逃げ帰り

筑紫の日向の阿波岐原で禊ぎをする

すると御顔から三貴子が生まれた

高天原をアマテラスが治めて

ツクヨミが常闇の世界を照らし

スサノオはヤマタノオロチを退治した

天孫降臨の後、初代神武天皇は

ヤタガラスに導かれ東征を果たす

ヤマトタケルは背水の陣を敷き

草薙剣を手に縦横無尽の活躍をする

大和は栄え推古天皇の治世となり

聖徳太子が西方の哲人の理想を叶える

 

東方で哲人王制が実現しているころ

イデア界からある存在が顕現した

東雲の蒼穹に鳥の羽ばたく音が響く

敷島の上空に虹色の烏と鳳輦車

それは見窄らしい小島に降り立つ