とある高洲のミゼラブル

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kaz氏アレンジ
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掛けまくも畏き五烏ノ大神

諸々の禍事罪穢あらむをば

祓へ給ひ清め給へと白す事を

聞こし食せと畏み畏みも白す

 

夕星が薄暗い空に輝く

その下には蒼白の青年

宵闇の河川敷を歩いて

意識不明の母を想いながら

彼は星の女神に祈った

運命の打撃に眩暈を起こし

完膚なきまでに打ちのめされて

気だるい心ここに在らず

かつて支えだった祈り

失った信仰と数珠を取り出して

仏壇の前で読経して一心に

母を助けてくれるなら何でもします

そう泣きじゃくりながら祈った

かりそめでも偽りではない

真剣な声は聴き届けられた

といえどもゴルゴタの丘は続く

 

のうまく さんまんだ ばあざらだん かん

のうまく さんまんだ ばあざらだん かん

のうまく さんまんだ ばあざらだん かん

 

朧月が闇夜にたゆたう

持たざる者の深い悲嘆

青年が山のお社に登っている

手には太い縄を持って

息を切らすも迷いはない

境内に陰陽二股の木があった

彼はそれに縄をかけた

絶望とわずかの理性

ためらいと逡巡の時間

夜空から月の光が照らす

極限のパスカルの賭け

奈落の深淵を覗き見た気がした

計算よりも恐怖が勝ったとき

足元からスッと蛇が這い出た

驚きのあまり我に返る

かくして彼は助かった

後ろで見守っていた存在がある

 

のうまく さんまんだ ばあざらだん かん

のうまく さんまんだ ばあざらだん かん

のうまく さんまんだ ばあざらだん かん

 

日暈が晴天に現れている

鳥の亡骸に最後のキスをする

花柄のハンカチで包み

ありったけの花を摘んで

男が祖先の墓地まで歩く

夭折した子供のお地蔵様

その後ろに穴を掘って

亡骸と供え物を優しく納める

最後に別れの言葉をかけて

顔には一筋の涙が伝う

居並ぶ祖先の墓前に立ち

どうかこの子を可愛がってあげてください

鳥の墓石に静かに呼びかけ

何度も振り返りながら後にする

空にはまだ日暈が出ている

そう、彼は神話を追憶したのだ

 

掛けまくも畏き五烏ノ大神

諸々の禍事罪穢あらむをば

祓へ給ひ清め給へと白す事を

聞こし食せと畏み畏みも白す