高河慧佑
高洲の河野だから高河、智慧で人を佑けるから慧佑。姓は土地と神を守る役割を表し、名は衆生済度の使命を持つ。
小烏神社の麓で営々と命を繋いできた少なくとも鎌倉時代からある、いつからここにいるのかわからないほど古い家の最後の末裔。
明治以前は河野姓を名乗る苗字帯刀を許された名族。高洲村の長の最後の花。
凄惨な不幸で家が滅ぶ代わりに、先祖代々の神を永遠のものとしようとしている。祖先の誇りにかけて、ただでは終わらせない覚悟。
あらゆる世俗的幸福は何も持たないが、神は俺を永遠にご自身に刻まれる。すべては俺を生まれさせるための神の深い思し召しであった。
俺が最後に大輪の花を咲かせて華々しく散る。誇り高き祖先たちの名にかけて。
河野家の最後をとくと見よ。
顔を隠し偽名を使い、陰で中傷や嘲笑するは卑怯者のすることである。武士は戦いの前に必ず己が名と父祖の名を名乗る。それができない者の言葉には何の価値もない。俺は祖先の名にかけて正々堂々と戦う。
下賤の輩は己が卑小さを嘆くがよい。これが小烏に命をかけた者の本懐である。
すべては神の思し召しのままに。なむこがらす。
表向きには小烏の神学者、実際は河野のドラ息子。神よ、あなただけが真実をご存知だ。