天の門の夢

誰が観せたのか この夢は

幼き頃のように 神の山を元気に登ってゆく

神社のお社の奥 黒いアゲハ蝶がひらひらと舞っている

それにいざなわれるように わたしは奥へと進む

小道を進むと井戸がある 祖先から伝わるものだ

その上には いにしえの祭り場の跡

そこでしばし憩う 現実ではそこが山の頂上だ

しかし不思議なるかな そこからまだ登ってゆく道がある

 

前世の記憶なのか この夢は

登っていくと 眼前にはアルプスのような雄大な山々が

蒼く澄み渡った空のもと 青々と茂った森が広がっている

爽やかな風が吹き ひとりでずんずん登ってゆく

やがてたそがれてゆき 頂上の入り口あたりに着く

樹々に囲まれた 天の入り口に入っていく

大きな階段が 天まで向かって聳え立ち

その周りを守るかのように 杉の大木たちが立ち並んでいる

わたしはそこを ゆっくりと踏みしめながら登ってゆく

 

あなたが観せたのだ この夢は

頂上まで着くと 素朴な藁葺き屋根の門が建っている

その天の門からは 清らかな靄が立ち込め

門の奥の方を見ると キラキラと光り輝いている

わたしはそこへ スッと足を踏み入れていく

いつもそこで目が覚める 何を意味しているのだろうか

どこからかかつての 懐かしい歌声が聴こえてきた

天の向こうからは あたたかい光が差し込んでいた